中皮腫ID:1245588201-

呼吸困難な老犬が来院しました。胸が波打ち胸部疾患があるのは誰の目にも明らかです。でもすぐには検査しません、少しでも呼吸状態が落ち着くまで酸素吸入を開始します。検査後、胸に液体が溜り肺が機能しなくなっていることが解りました。呼吸改善のため胸水を抜きましたが殆ど血液です。血胸といいます。細胞の検査より腫瘍からの出血が一番疑われました。中皮腫という悪性の癌が疑われますが細胞診だけでは反応性か腫瘍性かの鑑別は困難です。治療後2日間は安定していたのですが再び呼吸困難に..。当初飼主さんは積極的治療を望んではおられなかったのですが、病気は治らなくても呼吸の苦しさだけは取り除いて欲しいとの要望により確定診断と治療を兼ね開胸を行うことになりました。予想通り胸の中は腫瘍で埋め尽くされています。組織病理診断のため腫瘍の一部を取りドレーンを留置して閉胸です。病理診断の結果やはり悪性の中皮腫と判明。ヒトではこの癌は空気伝播したアスベスト繊維の暴露に関係していることが解っていますが、犬とアスベストの関係はまだ獣医病理学の疫学的調査を待たなければならないと思われます。個人的には犬の中皮腫との関係は大いにあるのではないかと考えていますが、珍しい腫瘍のため犬にもこのような癌が出来るのだということだけでも知っておいてほしくアップしてみました。
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触っているのが中皮腫
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取り出した中皮腫の一部

— posted by shimoe-s at 09:43 pm  

 

カレーを食べにID:1245582715-

梅雨の合間、カレーを食べて元気を出そう..ということになり上下町はインド料理プラ.シャンティへ行ってきました。里山の古民家で良い雰囲気を醸し出しているお店です。テラスからは野鳥のさえずり、ビオトープには鯉と水辺生物、石垣には色とりどりの花、そして菜園、裏山には鶏、周りは緑眩しい山々です。街中で食べるカレーとは一味も二味も違うことが私にも分かります。長年インド料理を探求されて来られたご主人の心を感じる味でもあります。里山暮らしに憧れている私にとって癒しの一日でしたが、若い皆はどう感じてくれたかな...。
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jaga

— posted by shimoe-s at 08:11 pm  

腫れ物の細胞検査ID:1244355829-

体の表面など見えるところ、また触ってわかるところに出来た病変(腫瘍、皮膚病など)で、これ放っておいて大丈夫でしょうか、何でしょうか、とよく質問を受けます。一見して診断つくもの、そこの細胞など採って顕微鏡で観察しないと診断できないものがあります。穿刺吸引細胞診といって針を病変に刺して得られた細胞を染色して診断する方法が日常的に行われます。それ程時間がかからず答えは出ますが只、穿刺吸引しても細胞が充分採れず診断が出来ないこともあります。その場合麻酔下で病変を大きく採って診断するようになります。当院で判断出来ない場合、採集した組織はホルマリンに浸けて専門の検査センターに診断依頼しますが、結果は一週間ぐらいかかります。下の写真は猫の舌に出来た腫瘤ですが、一見すると癌など悪性腫瘍を疑いましたが組織病理診断では好酸球性肉芽腫で腫瘍ではありませんでした。もう一つの例は犬のペニスの皮膚に出来た腫瘤ですが組織診断の結果は悪性腫瘍でした。このように見た目だけでは判らない場合もありますので細胞診、あるいは組織診断が必要であることをご理解下さい。

舌の表面奥まで発生した好酸球性肉芽腫
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摘出したところ
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ペニスに発生した腫瘍
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摘出したところ
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— posted by shimoe-s at 03:23 pm  

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