マムシ咬傷ID:1243755580-

今年最初のマムシ咬傷の犬が来院しました。日本に棲む毒蛇にマムシ、ハブ、ヤマカガシがいますが犬猫が咬まれて連れて来られる例は此のあたりではマムシ咬傷です。マムシは出血神経毒(蛋白分解酵素)をもち咬傷部の出血、腫脹、浮腫、壊死等を起こします。毒牙の刺傷が2カ所~1カ所あり好奇心の強い犬猫が口周囲、前肢を咬まれるのが通常です。ヤマカガシは血液凝固阻害毒をもち毒牙はマムシと違い奥歯にあるので、めったに咬まれることは無いそうです。(私はヤマカガシ咬傷の犬猫の症例は診たことがありません)開業以来マムシ咬傷例は恐らく100例以上診てきましたが今だ死亡例はありません。犬はマムシ毒に比較的強いとされていますが治療は必要です。過去の例で皮膚の壊死、腎不全などで治療が長引いた例もあり、毒素の量、個体差で症状に違いがありますから安心は出来ません。今回は写真の様に特徴的に腫れていますが咬傷部位が唇の内側の為、唇をめくって見ないと傷は判りませんでした。飼い主さんはマムシ咬傷の診断に驚いておられましたが、咬まれる瞬間とかマムシを目撃されていなければビックリされるのも当然でしょう。マムシが生息している草むら等に入る犬猫そして人も注意が必要です。因にヒトはマムシ抗毒素血清注射などが必要ですので早く病院に行って下さい。もちろん犬猫も動物病院へ。

治療二日目ですが口唇、首、胸前の腫れは大分減少しました。食事も摂れています。
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— posted by shimoe-s at 04:39 pm  

東洋眼虫ID:1242545351-

皆さんご存知の犬フィラリアは蚊が血を吸う時に感染し最終的に心臓に寄生する恐い病気というのはご承知と思います。今まさに予防開始時期で病院では慌ただしくしている時ですが、同じ寄生虫でも目に棲みつく東洋眼虫というのがいます。私が開業している地区は山里なものですから日常的にこの東洋眼虫が寄生した犬猫を診ます。涙、目やにが良く出る、目をシバシバさせるということで来院されます。これは目の周りをうるさく飛び交うブト(ショウジョウバエ)メトマイと言うハエが涙を吸いに来た時、感染するのです。(メトマイの体内で3回脱皮(L3)した子虫がハエの口器から眼に侵入)。成虫の雄は10ミリ 雌は15ミリで糸状の乳白色をしており約9ヶ月の寿命があります。眼の表面に寄生した子虫は2ヶ月でL1を産み、これがまたメトマイに吸われ他の犬猫に移されていく訳です。因に人間にも寄生しますのでメトマイに涙を吸われないように注意して下さい。治療は結膜嚢内、瞬膜下の成虫をピンセットなどで摘出します。メトマイが飛び交う場所にいる犬猫で眼が赤い、涙がよく出ている、目やにが出る等の症状がある場合、目をじっくり観察してみてやって下さい。フィラリアと違って命に関わる寄生虫ではありませんが、ここ数年頻繁に診ますので名前だけでも知っておいて下さい。
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私が開業している福山市新市町
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— posted by shimoe-s at 04:29 pm  

結婚式ID:1241610734-

動物看護士となり6年目の当院の門出さんが此のたび結婚いたしました。動物看護専門学校時代からの交際で今回の目出度い日を迎えました。晴天の新緑が眩しい樹木に囲まれたチャペルでの結婚式、披露宴。美味しい料理、お酒を頂きながら久々にゆったりした時間を過ごしました。このところ動物病院では一年で最も忙しい時期を迎えていたものですから。結婚後も門出さんは引き続いて勤めてくれます。院長として安心しているところです。門出さんと同じように仕事が出来る人を育てるには中々難しいものですから。披露宴の中で小さい頃からの写真履歴がスライドで紹介され、また友人達のスピーチから仕事上では見えない彼女の一面も知り得ることが出来ました。共通して言えることは素直な女性と言うことでしょう。きっと素晴らしい結婚生活を歩んでくれると思います。
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— posted by shimoe-s at 08:52 pm  

 

血尿ID:1241603805-

老齢の雌犬(シェットランド.シープドッグ)が血尿が治らないと来院されました。各種検査の結果、膀胱の腫瘍が原因と判明。腫瘍は膀胱全体に及び特に大切な膀胱三角(腎臓で作られた尿が尿管を通って膀胱に入る口、そして尿道へ出る口周囲のことを言います)に増生し尿管が腫大傾向(尿が膀胱内へ入り難い事を意味します)にあるため近い将来、尿が出なくなる恐れ大のため避難手術を行うことになりました。病理検査の結果は移行上皮癌と診断され、尿の流れを邪魔してた膀胱三角部の腫瘍はレーザーで切除しました(移行上皮癌は悪性腫瘍で完全摘出は困難です)。移行上皮癌はメス犬に発生しやすい素因があります。おそらくこれはオスよりもメスの排尿回数が少なく、膀胱壁と尿中に排泄された発癌物質との接触時間が長いためと思われます。腎臓の機能はまだ大丈夫な為、飼主さんと相談の結果、この癌に一番効果のある抗癌剤を使って癌をコントロールしていくことに決まりました。今回で2回目の抗癌治療継続中ですが大きな副作用も無く、血尿も止り尿の出も順調のため、完治は望めませんけれど癌と共存しながら良い状態が続く治療に専念していきます。

ピンセットの先が腫脹した尿管
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膀胱切開して内面全体に増生した移行上皮癌。
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細径内視鏡(3mm)で術前に膀胱内を精査、バイオプシー済み。

— posted by shimoe-s at 06:56 pm  

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