もの言わぬ動物の治療において、病気の診断、治療の方向を診るため色々な検査をします。特に血液検査、尿検査、便検査、レントゲン検査、超音波検査、(内視鏡検査は時々)などは頻繁に行う検査ですが、でもこれらの検査と触診などの五感を働かせても正確な診断がつかない場合があります。このような時、手術に耐えれる体力があるうちにお腹を開けて診断をつける、これが試験開腹なのです。原因がわかり治癒する、あるいは治癒しないまでも病気が少しでも改善して楽な生活が送れると判断した場合、手術を続行していきます。しかし、開腹したものの、癌が進行していたり手術が困難なために手術を行うことができず、そのまま元に戻すこともあります。閉腹といいますが、そのような時は自分の無力さを感じ非常に落ち込んでしまいます。(飼主 さんにとってはもっとショックなことではありますが)。日常的によく診られる胃腸障害の中で、異物を飲み込んだことが原因で食事が摂れず、すぐに吐いてしまうということで来院されることがあります。誤って食べた物がレントゲンに写る物や、これこれを食べてしまったと伝えて下されば事は簡単で診断に悩まないのですが、原因が判らない場合はバリュウムを飲ませたり、レントゲンを何回も撮るハメになる訳ですが、バリュウムを飲ませても吐いてしまい、しっかり診断が付かなかったり、鎮静処置をしないとレントゲンもまともに撮れない暴れる動物の場合、充分な検査が出来ず飼主さんと相談の上、試験開腹〜治療となることもあります。ちなみに今まで飼主さんが知らない間に異物を飲み込み開腹手術で取り出した物に、爪楊枝・竹串の腸への刺入。草と紐が絡んで腸閉塞。梅干し・桃・プラム・銀杏の種。縫いぐるみ。積み木。トウモロコシの芯。糸。ロープ。タオル。ストッキング。靴下。ボール各種。恥ずかしくて書けないコンドーム等々が閉塞していました。散歩中に食べるよりも、生活している身の回りの物による事故が多いように思えます。注意を払ってやって下さい。他にも異物による閉塞だけでなく試験開腹しなければならない疾病が沢山ありますが、動物に負担無く検査発見出来る時代が早く来る事を願っております。追加でありますが最近では動物病院でもCT・MRIを導入されて、より詳しく体の中の様子が解るようになってきてます。試験開腹を望まれない飼主さんにはCT・MRIがある獣医大学、動物病院をご紹介致しております。
August 19,2006
残暑お見舞い申し上げますID:1155967254- カテゴリー » 動物病院コラム
病院前のクスノキでクマゼミが喧しく鳴いています。まだまだ暑い日が続きます、皆様も動物たちも体調に注意されお過ごし下さい。
— posted by shimoe-s at 03:00 pm
August 16,2006
ポテとの別れ、思いでID:1155721790- カテゴリー » 動物病院ニュース
— posted by shimoe-s at 06:49 pm
August 2,2006
捨て猫ID:1154494800- カテゴリー » 動物看護士のお話
皆さんこんにちは、動物看護士の高橋美穂です。皆さんは捨て猫に遭遇したことはありますか?ある日の出来事です。病院の前に段ボールが置いてあり2匹の子猫が入っていました。誰も探しに来られなかったので忘れられていたのではなく捨てられていたのです。『病院に連れて行けば何とかしてくれる』と考えてのことだと思いますが、私達がどんなに努力してもこの仔たちの里親をすべて見つけてあげることは困難です。人と動物が共に暮らすには望まない妊娠を防ぐために避妊、去勢手術は許されることだと思います。早いうちに(生後5カ月位から)手術をすることで、メスは子宮・卵巣の病気、乳腺腫瘍、オスは精巣・前立腺の病気の予防、喧嘩の予防になります。また発情時のストレスから解放してあげることができ性格も穏やかになる傾向があります。手術に不安を持たれる方もおありかと思いますが、麻酔をかける前に全身チェック、血液検査、心電図などを出来るだけして安全に手術が行えるようスタッフ一同心がけています。もちろん手術中も点滴、酸素濃度、二酸化炭素濃度、麻酔ガス濃度、心電計を監視しながら獣医師は手術にあたっています。避妊手術後は活動量の低下や発情の時に使われていたエネルギーが少なくなるため太りやすくなる傾向があります。ですから飼い主さんが愛情をもって食事の制限や運動不足にならないようしっかり管理してあげて下さい。今回のこともそうですが、捨てられる動物は少なくありません。飼う以上は責任を持って飼い、望まない妊娠を防ぐ為にも手術されることが大事だと思いました。
【動物の愛護及び管理に関する法律】では、すべての人が『動物は命ある物』であることを認識し、みだりに動物を虐待することのないようにするのみでなく、人間と動物が共に生きていける社会を目指し動物の習性をよく知ったうえで適正に取り扱うよう基本原則で定めています。院長
— posted by shimoe-s at 02:00 pm
June 25,2006
熱中症(熱射病)ID:1151240298- カテゴリー » 動物病院コラム
日本の高温多湿のこれからの季節、熱射病が増えてきます。犬は概して寒さに強く、暑さに弱い動物ですが、人間と違い汗腺が発達していません。その為、汗をかかず口を開けてハアハアして体温調整をします。暑い時間帯の外の散歩、日陰の無い風通しの悪い場所に繋がれた状態、閉め切った蒸し暑い部屋・車の中などにいますとハアハアだけでは体温調整が出来ず高体温になります。初期の症状は“あえぐ呼吸”“大量のよだれ”です。また雷・稲光・雷雨などに恐れる犬は興奮のあまり高体温になり熱中症状を引き起こすことがしばしば見受けられます。注意してください。応急処置ですが、ホースで水をかけたり、水を入れた浴槽につけたり、アイスノン・冷たいタオルを体にかける等をして体温を下げる工夫と口のよだれをぬぐって呼吸をしやすくしてください。肥満の犬、短頭種(シーズー・パグ・ブルドッグ・ボクサー・ペキニーズなど)、日頃ガアガアと呼吸音のうるさい犬、イビキの高い犬などは熱中症にかかりやすいので特に注意をはらってください。重症になりそのまま放置すると、血便や嘔吐、痙攣を起こしショック症状から死に至りますので応急処置をしながら病院と連絡をとり指示を受けるようにして下さい。
【すでに死亡して数時間がたち,死後硬直が起きている犬が搬入されました。体が熱いのでまだ生きているので治療をして欲しいとのことでしたが・・。 長時間暑い所に繋がれていたようです。昨年の夏は暑さに平気で元気だったから心配していなかったとのこと・・。悲しい出来事でした。】
— posted by shimoe-s at 09:58 pm
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