バベシア症ID:1256819720-

20年来の付き合いのあるSさんが愛犬ダックスフントが“血尿する”と来院されました。診察すると血尿と思われていたのは、黄疸のためのビリルビン尿(濃い尿)です。腹部の触診で脾臓の腫れも診られ、貧血、高体温のため呼吸も荒く診察台の上で“どうにかしてくれ”と上目ずかいで私を見ます。さっそく血液検査とレントゲン撮影。血液で下記の写真のバベシアが確認され、レントゲンで脾臓の腫大も確定。Sさんは元々神戸に住んでおられたため、この病気のことはご存知で私としては治療に入りやすい関係でもありました。(神戸地方はバベシア症の多い所)。さてさて、バベシア症はマダニによって媒介されるバベシア原虫が赤血球内に寄生することによって起こる溶血性貧血です。この溶血は原虫が分裂増殖し赤血球を物理的に破壊すること以外にも別の溶血機構の存在が推測されており病態は厄介なのです。Sさんの愛犬は入院となり原虫のDNA合成を阻害する治療薬をさっそく注射、栄養剤の点滴となりました。しかし翌日にはさらに貧血が進み輸血までしなければならない状況となる始末。4回目の治療薬注射が完了時には薬の副作用も無く、体温も正常となり貧血も改善傾向を示し、黄疸も消失し一先ず退院となり一安心。しかしこの病気、これで終わりではなく再発もしやすいため坑原虫作用がある抗菌薬を暫く服用することと、血液検査は定期的にしていくこととなります。この病気を媒介するダニはごく普通に犬に付着するフタトゲチマダニ.ヤマトマダニ.クリイロコイタマダニ.ツリガネチマダニなどが知られています。草むらに入りダニに咬まれないようにすること、病院用のダニ駆除剤を定期的にすることなどでこの病気を防ぎましょう。バベシア虫体の自然感染後の潜伏期間は2~4週間です。ダニが付いていた、尿の色が濃い、熱が高いなどの症状がある犬は診察を受けるようにして下さい。

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写真が悪くて見えにくいですが、赤血球の白く抜けた所がバベシア原虫
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バベシアを媒介するフタトゲチマダニ

— posted by shimoe-s at 09:35 pm  

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