12月, 2011年

21歳のジミー君

名前はジミー。平成2年7月生まれのオス猫です。

今日も点滴に来られました。待合室でのダミ声で直ぐにジミー君が来ているのだなと判ります。

もう点滴を始め出して、かれこれ4年は経つものですから。

病名は慢性腎不全。年老いた猫には当たり前のように見受けられる病気です。

脱水を防ぎ、腎血流量を増やし、食欲が落ちないように、そして腎臓に少しでも負担にならないよう腎臓病療法食を継続して頂いています。雄猫の21歳は私の獣医道でも数少ないかと思います。飼い主さんの献身的な世話,愛情、そしてジミー君の生命力。介護,治療に携わるスタッフとの友好的波長。すべてがジミー君にプラス方向に味方してくれているようです。もうすぐ正月です。少しでも長く、苦しむこと無く生きてほしいものです。点滴中のジミー君の顔写真とスタッフが与えているフードを無心に食べているいつもと変わらぬ光景です。

睾丸(精巣)の腫瘍

犬の睾丸(精巣)に出来た腫瘍です。写真の通り左右の大きさが違うのがお分かりだと思います。これって正常でしょうか?触診では大きい方が硬く少しデコボコしています。小さい方は触診ではあまり異常は感じられません。ですが病理検査の結果は大きい方が間細胞腫(良性腫瘍)、小さい方がセルトリ細胞腫(悪性腫瘍)でした。一見正常そうに見えても病理学的には悪性の場合もあるということです。この症例は病巣を小さいうちに摘出したので転移はありません。

 

 

 

大きい方が間細胞腫

小さい方がセルトリ細胞腫

脊索腫(せきさくしゅ)

初老の雄のフェレットが来院しました。写真のような腫れ物が尾に出来たとのことです。フェレットの尾の腫れ物と言えばたいてい表題の腫瘍を疑います。外科的切除後の病理検査の結果は、やはり脊索腫でした。

脊索腫 とは、脊椎を形成する脊索由来の腫瘍であり、この腫瘍はフェレットでは尾の先端部によく発生することが知られています。脊索腫はラットなどのげっ歯類、あるいは人にも発生します。ラットでは腹腔内の腰椎部位に発生し、高頻度に肺に転移します。そのため、ラットやヒトでは脊索腫は悪性腫瘍として取り扱われますが、フェレットの場合はほとんどが尾の先端部に発生することから、転移の報告は無く、断尾により臨床的な問題は殆ど無いため、良性の腫瘍として治療されています。

前にも書きましたが、ほとんどの腫瘤は肉眼では悪性と良性の鑑別は困難であることから、発生した腫瘍については早期の切除と病理組織学的な鑑別診断を実施する必要があります。

食道狭窄

前回の薬の飲ませ方に続く症例です。

猫の食道に刺激性の薬、化学物質、逆流した胃液などが停留した場合、食道炎が起きることがあります。

今回、食道炎から食道狭窄に及び食事が胃に入り難くなった例です。

猫の薬剤経口投与は要注意

犬、猫に薬を飲ませる事は大変多いですが、下記の点に注意して下さい。

犬の食道蠕動運動は75~100cm/秒

猫の食道蠕動運動は1~2cm/秒と言われています。

これから解るように猫は口から入った薬が胃に到達するのに犬に比べて非常に時間がかかります。猫に薬を飲ませる時、薬が食道に停滞し食道炎を起さぬように注意する必要があります。

宮崎大学の鳥巣至道 先生は次のように述べられておられます。

水なしで胃に到達する時間と確率

60秒 …….0%

90秒 …….6.7%

120秒 ……..13.3%

240秒 ……..26.7%

300秒 ……..36.7%

*薬を飲ませてすぐに水を6ml飲ませた場合の胃に到達する時間と確率。

60秒 ……93.3%

90秒 ……100%

 

そのため 猫に薬を飲ます方法として。薬服用後、水6ccぐらいを注射器などで

飲ませるようにしてみてください。

あるいは缶詰めフード等をダンゴにして中に薬を包み食べさせる。

なかには空腹時、食間に飲まなければならない薬もあるため、その都度 獣医師に相談して下さい。フード等に薬を包み(団子状に)与える。

縫合糸肉芽腫

超音波メスを使用して卵巣部を切除しているところ(縫合糸を使用しない場合)

同様に子宮頚管部を切除しているところ

腹壁をモノフィラメントの吸収糸で縫合しているところ

あるオーナーさんから“糸を使わない手術”をされていますか?という質問を受けました。お腹を縫う時は糸を使いますが…..。そんな話をしながら、私の頭の中は縫合糸肉芽腫のことを心配されているのかな…と思ったのですが、正しくその通りでした。

縫合糸肉芽腫とは手術時に使用した縫合糸に対する異物反応の結果、体に炎症を起すことです。動物病院では不妊手術、去勢手術など日常的に行なっていますが、手術の際、縫合糸はどうしても使用することになります。只、縫合糸にも色々あり吸収性モノフィラメント(溶ける糸)、ステンレスワイヤーなどが炎症反応が軽度と言われています。(どのような糸を使用しても炎症反応は有るということですが)

皮膚縫合は後日抜糸するので問題無いのですが、体内の縫合の場合、縫合糸の選択、テクニックは大切かと思います。また縫合糸関連の肉芽腫を起しやすい犬にミニチュアダックスフンド.ヨーキー.ラブラドルレトリバーなどがあげられます。

厳密な意味で縫合糸を全く使用しない手術は現在のところ無理であること。(腹腔鏡手術は可かも)好発犬種、縫合材料を熟知し滅菌、消毒、など徹底し行なえば可成り防げる病態と私は考えています。当院では超音波メスを使用して卵巣部、子宮部は糸を使いません。しかし腹壁(腹膜、筋肉)は吸収性の糸を使用して縫います。皮膚は溶けない糸で縫うため10日前後で抜糸いたします。…..そのような会話があったので必要かと思いアップしてみました。 available domains

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