動物病院Blog

猫の仙椎損傷による排尿障害

交通事故に遭った2歳のオス猫、名前はクロ。とても人なつこく可愛がられている子です。来院時、性格の良い子なのですが痛みの為でしょう 少々気が立っていました。検査の結果、脊椎の仙椎~尾骨に損傷が認められました。歩くことは出来るのですが尾に力が入らず垂れ下がったままです。さらに詳しい検査の結果、排尿障害があることも判りました。通常お腹を圧迫して(膀胱の圧迫)尿を出す方法をとることが多いのですが、この仙椎障害の病態の場合、尿道括約筋が緊張していて圧迫では排尿が出来ないのです。緊張を緩める数種類の神経薬を試みたのですが残念ながらどれも効果が現れません。猫では通常1~1.5ヶ月で回復することが多いのですが2ヶ月経っても回復しない場合は予後不良とも言われています。このため悩みながらも飼い主さんの苦労は始まったのです。毎日から隔日に尿道カテーテルによる排尿に通院されることになりました。飼い主さんの努力とクロの穏やかな性格のおかげでカテーテル操作はさほど困難ではありません。案じながらも3.5ヶ月間経った頃。最初に尾が少しづつ動き始め、1週遅れで力んだ時、尿が1.2滴垂れ始め、そしてついにトイレで普通に排尿、排便出来るようになったのです。頑張ってみるものです。3ヶ月半に渡る通院本当にご苦労様でした。猫のこのような病態ちょこちょこあります。時として手術も必要ですが«自然治癒力»という素晴らしい武器を待つのも必要です。参考になればとアップしてみました。

仙椎〜尾椎の損傷

尾に力がありません。

尾を上げ振る動作が出来るようになりました。

胃腸内の異物の行く末

犬猫は身の回りにある色んな物を飲み込む(食べてしまう)ことがあります。目撃などで家族の人が気づけば早く対処出来るのですが…。下記の2例は何ヶ月も経って異常が出た症例です。パグ犬ですが元気食欲無く嘔吐するとのことで来院。小腸に鳥のオモチャが詰まっていました。1年前に無くした玩具だったそうです。次も同じ症状で来院されたダックスフント犬です。小腸より100円硬貨を取り出しました。飲み込んだ日時は不明ですが硬貨の変色と厚さ、重さの減少からだいぶ前のことと思われます。共通点は長期に渡り胃内に存在した為、胃酸の影響で変色、腐食していて元の形状を成していないことです。胃内にあるうちは大きな症状を出さなかったのでしょうが、流れて行き細い小腸に詰まったものですから大変です。何事も無く便と一緒に出てくれれば良かったのですけど。

元の黄色の鳥の玩具とは思えなく変形変色している。

左:元の100円硬貨4.8グラム 右:腸閉塞の原因になった100円硬貨、3.5グラムに減少変色していた。

100円硬貨の色と厚さの比較。右:胃酸による腐食の結果、薄くなっている。因に硬貨の成分である、銅,ニッケルによる中毒症状は認められなかった。

シラミ寄生

『この平成の時代にシラミがいるんですか?と吃驚の声…。』

1ヶ月前より体を痒がる猫の来院です。診ると体のあちこちに脱毛がみられ皮膚が赤くタダレています。

毛にフケの様な卵が付いています。“ハジラミですね” と言ったものですから先の吃驚となった訳です。

ノミとかダニは見る機会があるためか、あまり吃驚されませんがシラミは余程のショックだったようです。

犬猫に寄生するシラミにはイヌシラミ、イヌハジラミ、ネコハジラミがいます。シラミとハジラミは同じ仲間ですが、シラミは血を吸

い、ハジラミはフケ.皮膚分泌物などを食べて生きています。体長1~2ミリの羽の無い昆虫です。種特異性が高く人間には感染しません

ので安心の程。治療で治ります。

ネコハジラミの顕微鏡写真。頭が五角形が特徴です。葉っぱのような形に見えるためハジラミと言うそうですが?

里芋中毒

里芋を生で数個食べ、頻繁に吐きぐったりしたゴールデンリトリバーが来院しました。里芋中毒のようです。煮て食べる場合は問題ないのですが生で食べた場合、結構 消化器障害がひどく現れます。里芋にはシュウ酸カルシウムが沢山含まれていて、皮を剥いたり洗う時、手が痒くなるのはこの結晶の刺激によるものです。また主成分であるデンプンも生で食すると消化出来難く嘔吐下痢を起こします。強い嘔吐が丸一日程続きましたが点滴等の対症療法で翌日には元気を取り戻しました。犬猫には与えてはいけない食物が沢山ありますので御注意を!

点滴中元気になりました。里芋

里芋の葉。

 

 

 

 

 

猫の歯肉口内炎

口が痛くてフードが食べられない…口周囲を触ると痛くて怒る…等々の理由で来院されます。たいてい表題の病態が起きており痛くて怒り充分な診察が出来ない事が多く、麻酔下での精査となります。まずは通常の歯科治療(スケーリング、ポリシング)で口腔内をきれいにします。抗生物質、ステロイド、インターフェロン、ラクトフェリン、eFace-V等のサプリメント,レーザー治療などで内科的治療を試みます。これらの方法で大概は良い方向に向かうのですが、中にはステロイドに頼ってしまい糖尿病などを併発する場合もありますので連用は注意が必要です。この病気の原因はまだ不明な点が多く、複数の要因が関わっているようです。猫カリシウイルス、猫エイズ、猫白血病に感染していてこの病態を表していることもあるのでカリシウイルス、エイズ、白血病の検査はやっておく必要があります。難治性といって薬、注射、レーザーでも痛みが取れない症例も多く、最終的には下の写真のように全顎抜歯といって全部の歯を抜く方法をとります。

麻酔下で口を大きく開けています。赤くなっている所が炎症を起している歯肉です。

全顎抜歯して縫合したところ。歯根が一部でも残るとこの病態は改善しません。肉食動物の抜歯は結構大変です。

血圧測定

人の病院では血圧を測ることは当たり前のことですね。でも動物病院では手術中の血圧測定は基本的に行なっているのですが、外来での診察時の血圧測定は色んな条件で難しい時があります。興奮等により正確に計れなかったと言うのが正しいでしょうか…。

今回、犬猫専用自動血圧計Pettrustを購入し使用していますが、中々良い感触を得ています。

臨床でよく認められる高血圧の症状は、多飲多尿、食欲の変化、体重減少、急性の失明、運動失調、心悸亢進、胸水貯留、眼振、痙攣など。

高血圧が高率に認められる疾患は腎疾患、副腎疾患、甲状腺疾患、心疾患、貧血、高脂血症、糖尿病、赤血球増多症、高エストロジェン症などです。

器機の精度が良くなったとはいえ、出来るだけ穏やかな状態で測定しなければならないのは言うまでもありません。

犬と一緒に育つ赤ちゃんは病気に強い

「犬と一緒に育つ赤ちゃんは病気に強い」、研究

AFP=時事 7月9日(月)20時18分配信

「犬と一緒に育つ赤ちゃんは病気に強い」、研究
拡大写真
フランス・イゾンで子犬と遊ぶ男の子(2006年6月12日撮影、資料写真)。

【AFP=時事】犬が飼われている家庭で育つ赤ちゃんは、感染症や呼吸器疾患にかかるリスクが減るとの調査結果が、9日の米小児科専門誌「ピディアトリクス(Pediatrics)」に掲載された。
論文ではこの理由について詳しく説明していないが、毎日ある程度の時間を屋外で過ごす犬が周りにいることで、生後1年内の赤ちゃんの免疫力が高まる可能性があるとしている。猫でも同様の可能性が示されたが、その効果は犬より弱いようだ。
フィンランドのクオピオ大学病院(Kuopio University Hospital)が行ったこの調査は、親が生後9〜52週目に健康記録を取り続けた子ども397人を対象に行われた。その結果、犬や猫が飼われている家庭の赤ちゃんは、せき、喘鳴(ぜんめい)、鼻炎などの感染性呼吸器疾患にかかる確率が約30%低く、また耳の感染症にかかる確率も約半分だった。研究チームは、「動物との接触が免疫系の発達を助けることで、より整った免疫反応をもたらし、感染期間を短縮させるのではないか」と推論している。調査では、感染リスクの上昇が考えられる要因(母親による授乳や保育施設の利用、さらには親の喫煙や喘息など)を排除しても、犬のいる家庭で育つ赤ちゃんで感染症を発症する確率が著しく減少したことが確認された。また抗生物質の投与回数も少なかったという。先行研究では、ペットが子どもに与える恩恵についての意見が別れていた。恩恵などないとするものが存在する一方で、動物との接触が風邪や胃腸疾患を予防するとしたものなど、相反するものが見られた。
研究チームは、今回の調査が出生後すぐの乳児のみを対象とした点で、先行研究とは異なっているとしている。【翻訳編集】 AFPBB News

猫の耳垢腺癌

ここ数年、耳ダレ(耳分泌物)が臭く困り果てた老猫の来院です。外耳道入り口は膿汁でカリカリ。耳道内を検査使用にも痛みでそれ以上困難。麻酔下の検査で中耳~外耳にかけて腫瘤物があり、これが臭いの元凶と判明。“とにかく臭いを何とかして…”飼い主さんの切羽詰まった要望に答えるべき手術突入となりました。

 

外耳道を開いた所。

ピンセットで指している丸い塊が腫瘍(後に病理検査で耳垢腺癌と診断)

 

 

 

 

 

腫瘍だけ摘出は取り残しになるため、全耳道摘出を選択。

 

 

 

 

 

クサイ臭いから解放され家族も猫もスッキリ。

この手術の併発症として顔面神経麻痺が軽度に認められます。

暫くすると改善してきます。

猫の耳垢腺由来の腫瘍の発生は稀ですが、何事も早期に治療を。

永久気管切開術

“呼吸をするのが辛そう”と初老のダックスが来院したのが半年前。検査の結果喉頭麻痺が原因と判明。これは気管の出入り口が開かなくなる呼吸困難な病気です。『片側披裂軟骨側方化術』という手術を施し呼吸も楽になり平穏な日々を過ごしていたのですが…。再び呼吸困難で駆け込まれました。喉頭の披裂軟骨は硬くなり開くことも困難な状態です。緊急避難処置として気管切開で凌ぎましたが、喉頭部の再度の手術は困難と判断。相談の結果、管理に手間がかかるが呼吸が楽になる永久気管切開術を施すことになりました。喉の下の気管に窓を開けて此所から呼吸をする方法です。最初の2週間は痰の拭き取り、吸引等で目を離す事は中々出来ませんでしたが、1ヶ月も過ぎる頃には家族の人も管理に慣れ再び呼吸が楽な平穏な生活になってまいりました。今日は喉の開口部の毛刈りと経過報告に来られました。この喉頭麻痺の原因は色々ありますが、リトリバーなど大型犬に多くみられます。このダックスの場合は免疫介在性かと考えていますが、再度手術しなければならないこのような難治性の病気もあることは知っておいて頂きたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外出時など気管開口窓に異物が入らぬよう首のプロテクターを装着します。

マムシ咬傷

桜満開、春らしい日和になってきました。

暖かくなってきたのは良いのですが、今年早々のマムシ咬傷例です。

この猫ちゃんはヘビを獲るのが好きなそうですが、ちょっと油断したのでしょうか。下顎を噛まれて首まで腫れています。

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