動物病院Blog

ウンコが出ない パートⅡ

 

高齢の雄のMシュナウザーが排便困難とのことで来院です。
力むのに平べったい便しか出ないとのこと。
直腸検査などをしてみると、肛門より4センチほど奥に入った所で固いものに触れます。骨盤と尾骨に挟まれた空間に直腸がありますから、この場所に大きな腫瘤が出来ると当然 排便、排尿 困難と進む訳です。
今回は腫瘤がある場所が骨盤の背中側の肛門に近い場所なので肛門と尾の間からアプローチして摘出です。因みに今回は術前の針生検診断通り、直腸から発生した良性の平滑筋腫でした。

IMG_0729切開して腫瘍の全貌IMG_0731腫瘍摘出IMG_0748本日抜糸

特発性三叉神経症

医学用語に【特発性疾患(とくはつせいしっかん)】という呼び名があります。特別な原因が見当たらないのに発病することを意味します。今回は表題の病気の犬の来院です。
食事が食べれずヨダレが出るとのこと。口が開いたまま閉じられない症状です。色々な疾患の除外診断の結果、三叉神経(第V脳神経)の運動神経障害から咀嚼筋の一時的麻痺が起こっていると推測されました。食事を口の中に入れてやることで上手く飲み込めます。飼主さんは頑張られ10日後には麻痺も改善し普通に食事が摂れるようになりました。

IMG_0508IMG_0506IMG_0504 (3)口が開いたままで巧く閉じられません。

猫・耳道ポリープ

長い間、耳から化膿性浸出液が出て、頭を振ったり平衡異常を起こす若い猫が来院しました。検査の結果、耳道ポリープまたは鼻咽頭ポリープと言われるもので、中耳や耳管などから発生します。ネコに多くイヌでは比較的発生は稀です。非腫瘍性病変に分類され、転移などはありませんが、腫瘤の発生原因はまだ不明です。ポリープが形成されることで中耳炎・外耳炎の原因となる場合があります。

IMG_0724オトスコープで耳道観察中。IMG_0703耳道切開。ピンセットの先がポリープ。IMG_0707ポリープ摘出。耳道が良く観察できます。

ウンコが出ない

高齢の雌のMダックスフントが排便困難とのことで来院しました。一生懸命力んでいるのに細い便が少し出るだけのようです。

検査の結果、大きな腫瘍が骨盤内を占領しているためでした。さらに検査を進め発生源は膣の外壁からのようです。

飼い主さんは色々思案されましたが、手術となりました。下腹部切開と骨盤の一部切開で卵巣、子宮~子宮体~膣の一部そして問題の膣筋腫全部を摘出しました。

病理検査の結果、予想通り子宮、膣に発生する平滑筋腫で避妊していない高齢犬に観察される腫瘍でした。この腫瘍が発生した犬の多くは子宮内膜や乳腺の過形成あるいは乳腺腫瘍が認められるためエストロジェン(女性ホルモン)との関連が示唆されています。そのため子宮卵巣も摘出しておくことが再発率を低くするとされています。経験上この腫瘍で排便障害に進行した例は無かったものですからアップしてみました。今は排便もスムースとなり老後を快適に過ごしています。

子宮平滑筋腫子宮体には膿が貯留し腫れている。その下に膣の腫瘍が見えている

子宮膣平滑筋腫を取り出している所。子宮筋腫卵巣、子宮、膣平滑筋腫の全望。

アキレス腱断裂

若いプードルが後肢が着けない、歩けないとのことで来院。アキレス腱の所から少し出血しています。どうもカミソリ付きのクシで毛を鋤いていて傷つけたようです。しかし、よく診察してみると下の写真のようにクニュッと足が曲がってしまいます。所謂ベタ足です、アキレス腱が切れている症状です。アキレス腱は体の中で最も大きい腱複合体(5つの筋肉の腱の集まり)なのです。残念なことに全部切れていました。腱がピンっと張っている時、強い力が加わったり、バリカン等の刃が偶発的に当たって稀に切断してしまうことがあります。気をつけなければなりません。

切断した腱を丁寧に縫合し、患部に力が加わらないよう創外固定を施し癒合するまで安静を保ちます。今日は創外固定を外し10日目の検診に来られました。腱が完全に癒合するには半年程時間がかかります。ゆっくりな散歩をお願いしました。

IMG_0769曲がり過ぎ。

IMG_0771アキレス腱が切れている。

IMG_0772縫合した所

IMG_0773アキレス腱縫合部に力が加わらないよう 創外固定を施した所。

IMG_0828創外固定を外し普通に歩ける。

 

 

 

 

 

 

 

片側腎臓と子宮の欠損犬

6歳雌のMダックスフンド、乳腺腫瘍摘出前の検査中に右腎臓が欠損していることが判りました。左腎臓は健常で手術、生活に支障はありません。乳腺腫瘍摘出手術は当院の場合よほどリスクが無い限り子宮卵巣も同時摘出することが多いのですが、今回もその予定で手術に入ったのですが驚きです。左右卵巣はあるのですが左右子宮角が無いのです。そして検査通り右腎臓も欠損し肉眼状 痕跡すら見当たらない状態です。発生学的に子宮、腎臓は同系統で、この発生段階で何らかの障害が起きたものと推測しました。病理医の組織所見は下記の通りです。

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【病 理 所  見】

右側の子宮角は、組織検査においても正常な子宮構造は確認されず、膜状の管腔構造のみが観察され、子宮内膜も確認されません。また、周囲には線維化や線維増生などが認められます。左側の子宮角では、萎縮した子宮組織が観察されますが、内膜組織は消失しています。

卵巣では、いずれも軽度に萎縮していますが、黄体の形成や卵胞の形成が確認されます。

 

【予  後】

先天性の疾患と診断されること、腫瘍性の変化は観察されないことから避妊後は臨床的な問題はありません。

 

【コメント】

子宮は、発生学的に左右の中腎傍管(ミューラー管)から形成されます。発生段階において、このミューラー管の発達に障害が発生すると、子宮に種々の奇形が発生します。特にイヌでは、単角子宮、あるいは子宮角の部分的融合などの奇形が多いと報告されています。

本症例では、右側の子宮角はほぼ消失し、左側は高度に萎縮しています。しかし、組織検査では炎症性や傷害性の変化は確認されないことから子宮の形成異常あるいは分化異常などの先天性疾患と診断されます。ただし、形成不全の原因は特定には至りません。

また、卵巣も軽度に萎縮していますが、その他病理学的な異常は観察されません。

予後については、左右子宮角の変化は発生異常あるいは分化異常に関連した先天性の疾患と診断されること、腫瘍性の変化などは観察されないことから避妊後は臨床的な問題はありません。

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ちょっと調べてみました。2007年アメリカ、カナダでの卵巣子宮摘出手術を行なった猫53258頭、犬32660頭での肉眼的子宮異常は猫0.09% 犬0.05%であり、同側腎欠損(犬6/12)存在したとのこと。卵巣、子宮摘出手術(避妊手術)は毎日のように行なう手術ですが、単角子宮(片側だけの子宮)は過去に数例経験していますが片方腎臓欠損を伴っている例は今回初めてでした。この症例、乳腺腫瘍(複合癌、悪性腫瘍)摘出後も元気で生活しております。

IMG_0795卵巣を摘んでいる所。

IMG_0797摘出した卵巣。子宮が無い。

IMG_0825これは他の犬の卵巣と子宮。正常です。

ペグチューブ交換

経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)とは胃内視鏡を使って行う小手術で、お腹に小さな穴 を開けて、そこから栄養補給を行うチューブを胃に固定します。チューブから食事、栄養剤を与 えて全身状態を改善させることが目的です。内視鏡を使って行う事で、より簡単に行うことが出来ます。今回ペグチューブが古くなったので交換しました。この症例は強度の肝障害のため自発的な摂食困難、薬服用困難なため行なっています。かれこれ1年以上経過しましたが、体重も安定し家族の方も猫も不自由なく生活を送っています。

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内視鏡でペグチューブ交換している所。

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古いペグチューブを新しいペグに変えた所。

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犬でのペグチューブ使用例

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これは胃瘻ではありませんが、短期間の栄養補給に経鼻チューブ設置で栄養改善を行なっているところ。 website statistics

一酸化炭素中毒

家の火災により意識不明のマルチーズが運び込まれて来ました。体はススで薄黒く汚れ、生体反応は低下しています。すでに他の同居犬2匹は死亡したとのこと。熱風を吸い込んだためでしょう、口鼻気管の火傷を起しています。そして強度の一酸化炭素中毒症状…。人工呼吸機の力により36時間後にはだいぶ意識は戻って来ましたが,酸素欠乏のため脳細胞特に大脳基底核に強い障害を起こしている様子が伺われます。痙攣も続くため鎮静処置も行ないます。一酸化炭素はヘモグロビンと強力に結合する以外に脂肪組織や脳細胞に蓄積される傾向があるため酸素吸入による洗い出しは数日続けなければなりません…。頑張ってみるものです。1ヶ月後には自力採食、振らつきながらも自力歩行できるまでに回復してきてくれました。40日後には吠える(声が出る)ようになり顔の表情も少しづつ改善してきてくれています。

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36時間後、鼻腔カテーテルでの酸素吸入。まだススで体は汚れています.鎮静処置で寝かせています。

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2週間後. 脳障害の為、自力ではまだ起き上がれません。

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3週間後. 脳障害もだいぶ改善してきました。 web search history .

脱毛症X(Alopecia X)

性ホルモンが関係しているらしい脱毛で、原因がまだはっきりしていないという意味から脱毛X

と呼ばれています。痒みがなく肌は乾燥気味、写真のようなハゲ方をします。ポメラニアンに多いのですが今回はプードルの例です。色々な治療方法がありますが、この症例には去勢手術が反応して2ヶ月後には毛色が少し濃くなりましたがフサフサになりました。

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耳介の脱毛
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2ヶ月後、耳介の発毛
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尾と後肢の脱毛
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2ヶ月後、毛色が濃くなりましたが発毛。

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マダニについて

マダニが媒介するウイルス感染症SFTS(重症熱性血小板減少症候群)による国内の死者が4人と報告され、マダニについて質問されることがこのところ多くなった。バイエル薬品(株)から出されている説明図を基にお話します。

 

下の図のようにマダニは幼ダニ期から若ダニ期と脱皮して成長し成ダニ期を迎えます。

 

 マダニの生活サイクルマダニは山や森、河川敷の草むら等に潜み、そばを通りがかった犬,猫に飛び移れる機会を狙っています。動物の体温、振動、二酸化炭素などを感知し動物の体表へ寄生します。(マダニは唾液に含まれる酵素で皮膚を溶かしながら針状の構造物で切開し吸血します。)
唯一の栄養源は血液なのです。幼ダニ、若ダニは発育のため、成ダニは産卵のために吸血します。その吸血の際に原虫、ウイルス、リケッチア、細菌等が感染することがあるのです。
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草の先で動物が通るのを待っているマダニ。
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血を吸う前のマダニといっぱい血を吸ったマダニの大きさの違い。
madani03_img02この鉤状の歯を突き刺し血を吸います。
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顔、頭などによく咬みついています。毛が少ない場所も要注意です。
madani06_img02吸血中のマダニはセメントのような物質でしっかり咬み付いているため、引っ張ってもなかなか取れません。無理に取ろうとすると、口器だけが皮膚内に残り、化膿などの原因となります。慎重にピンセット等で除去したり薬剤を使用して取り除きます。
散歩等で草むらに入る犬,猫は定期的に動物病院用の駆除剤、忌避剤を使用して動物達を守ってあげてください。
                            バイエル薬品株式会社の資料を参照しました
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