前立腺肥大ID:1288010831-

前立腺肥大とはアンドロゲン(男性ホルモン)とエストロゲン(女性ホルモン)の比率の変化が前立腺に及ぼす加齢性の変化(肥大)とされています。今回、血尿が出るとのことで雄4歳コーギーが来院しました。検査の結果、表題の前立腺肥大が原因でしたが少し若くして発症した例です。通常、血尿といえば膀胱炎、尿道炎、膀胱.尿道.尿管.腎盂に出来た結石が原因となることが多いのですが、前立腺の病気でも血尿が出ることがあります。今回の場合3ミリの内視鏡を尿道に入れ出血場所の観察とエコー検査とを合わせて診断しました。処置は抗菌剤投与と去勢術を行いました。本日抜糸しエコーで前立腺の縮小を確認。血尿も無くなり症状好転、ついでに太い便も出るようになったとの事です。(犬の場合ヒトと違って前立腺の腫れは直腸を圧迫し排便障害を起こすことが多い)。

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— posted by shimoe-s at 09:47 pm  

 

臍(へそ)ヘルニアID:1288007335-

骨が折れてるかもしれない...という事で外飼いの猫が来院しました。まず目に留まったのはヘソのヘルニアです。触診にて熱感と痛みがあります。後肢の大腿骨の骨折も触診にて診断可能でしたが痛みはどうも臍ヘルニアの方が強そうです。臍(へそ)の”ふくらみ”は小さい時よりあり”デベソ”と軽く考えておられたようですが、このヘルニアの場合”かんとんヘルニア”といって脱出した腸、大網が締め付けられ血行障害を起こしているのです。おそらく交通事故により腹圧が高まり、元々のへそヘルニア孔に腸が飛び出し戻らなくなった結果だと説明し急いで手術に入りました。時間経過が早かったため脱出臓器の血行障害も軽く整復のみで解決。続いて大腿骨骨折はピンニング処置。大腿骨頚骨折は骨頭切除術を選択し終了。翌日には歩行も可能で食欲も旺盛、後は家で介護してもらうことで退院となりました。野性味の強い動物は手間いらずです。
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お腹の中央部ヘソの所のふくらみ が臍ヘルニア。
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レントゲン写真で腹部中央の臍ヘルニア(中に腸が脱出している)。
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臍ヘルニアは整復終了。大腿骨にカネを二本入れ骨折を整復している。大腿骨骨頸骨折は骨頭切除術で偽関節を作成し歩行を可能にする方法です。

— posted by shimoe-s at 08:48 pm  

横隔膜ヘルニアID:1284546061-

横隔膜は肺や心臓が収まる胸腔と肝臓、胃、腸などが収まる腹腔を境している筋および腱からなる膜状筋をいいます。焼き肉でいう“ハラミ”に当たる所です。«失礼»何らかの原因によりこの横隔膜が破れ腹腔の臓器が胸腔内に入り込むことを横隔膜ヘルニアといいますが、交通事故に起因することが多いものです。今回500gの子猫がこの病態で運び込まれました。検査の結果状態が落ち着いて後、開腹してみますと左側の横隔膜が破れ肝臓、胃、小腸がヘルニアを起こしていました。胸腔より丁寧に臓器を引っぱり元の腹腔に収めました。この症例の場合、写真のように横隔膜の筋肉部に薄い部分が認められます。薄い膜状組織のみで形成され筋組織が無い、いわゆる横隔膜形成不全と思われる状態です。ヘルニアを起こした部位にも一部薄い組織が認められたため原因は先天性異常の薄い横隔膜の部分が破れて起こした結果と考えました。現在、抜糸も終わり元気に成長しております。

胸腔内へ腹腔臓器が入り込み呼吸困難なレントゲン写真。
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鉗子で摘んでいる所がヘルニア孔(破裂した横隔膜)。

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ピンセットで摘んでいる所が薄い横隔膜。今にも破れそう。

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ヘルニア孔を閉鎖縫合したところ。薄い膜も縫合しているところ。

— posted by shimoe-s at 07:21 pm  

ヘモプラズマ(ヘモバルトネラフェリス)症ID:1283428275-

元気無く沈鬱な子猫(体重600g)が運び込まれました。鼻など皮膚は白く貧血がみてとれます。血液検査の結果PCV 7% BIL 1.7mgの強度の貧血と黄疸です。さらに検査を進めて行くと猫白血病には感染していないがヘモプラズマに感染し貧血を起こしていることが判明してきました。血液型などを調べ直ちに輸血を開始します。ヘモプラズマ症は猫伝染性貧血とも言われヘモバルトネラフェリスの感染によって引き起こされる溶血性貧血なのです。感染経路は今のところ十分に解明されていませんがノミなどの吸血昆虫に刺されることや喧嘩時の咬傷が主な原因とされています。この子猫は輸血、点滴、ヘモバルトネラフェリス駆除剤の効果で元気を取り戻しています。ノミの寄生、蚊の刺傷、喧嘩など外は危険いっぱいです。出来るだけ室内飼いに徹し、可愛い子には月に一回ノミ駆除、フィラリア予防、(首の所へ薬を垂らすことで予防が出来る)。そして白血病.エイズなどの予防ワクチンをして健康で天寿を全うするよう願う思いです。
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いつも写真撮影が下手で見難くて申し訳ありません。淡く丸いのが赤血球でその中にある青い点がヘモプラズマです。
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輸血後元気を取り戻し、点滴を外すのはもうすぐです。

— posted by shimoe-s at 08:51 pm  

猫の便秘ID:1282908699-

猫の便秘は様々な原因で起こり、特に年老いた猫で良く遭遇します。仔供の頃、骨の病気に罹ったり、また交通事故で骨盤骨折、脊椎損傷などを起こし後遺症の一つとして便秘をみることも多いですが。私の愛猫チョーも3年前より便秘で困っています。食事療法、薬物療法、浣腸などなど色々やってきました。チョーの場合、途中から家に来たものですから幼少の頃の出来事は推測でしかありませんが、最後腰椎から仙椎に骨折の痕があることから交通事故に合った事があるようです(神経の問題)。また寄生虫が原因で直腸脱を起こしていたものですから直腸.結腸固定術も施しています。このような病歴を抱えているチョーですから便秘になっても至極当然ではある訳ですけど...トイレで一生懸命頑張り、力み過ぎて吐いたりする姿は私とて見てはおれません。最近考案された療法食に下記の写真の製品があります。これをチョーに使っているのですが素晴らしい効果なのです。獣医学的療法から離脱しました。当院を尋ねて来られる同様な症状の猫ちゃんにも処方していますが正しく効果てきめんです。この食事は、消化性が高い原材料を用い、糞便の粘滑性を高めスムーズな排便をサポートするために、水分保持性の高い可溶性繊維とサイリウムを配合することによって猫の便秘に特別に対応した食事療法食なのです。

ただし使用が推奨されない病態等があります。  ●器質的要因(腫瘍.結腸無力症.骨盤骨折による骨変形など)による便秘や慢性の大腸炎などで食事の変更による改善が期待できない場合腸閉塞・狭窄、腸に炎症がある場合はおすすめしません。なので当然ですが獣医師による診察(血液検査、レントゲン検査など)を経てから処方される療法食ということです。すみません、宣伝になったでしょうか。使っている患者さんから今日も喜びの報告があったものですから...。
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チョーです。便が出てスッキリ顔。alt="296.9:600:450:0:0:IMG_2041.JPG:right:1:1::"/>

— posted by shimoe-s at 08:31 pm  

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