秋突入ID:1254399391-

フト気がつくと暦は10月に変わっていました。9月は何かと忙しくブログの書き込みも横着をしてました。大型連休に続き、東京であった日本臨床獣医学フォーラムに出席した為、まるまる一週間仕事を休んでしまい、不在のためご迷惑をお掛けしました皆様には深くお詫び申し上げます。しかし今年は台風も来ず、夏はアッと言う間に終わり秋に突入した感じです。待合室で飼育しているスズムシの鳴き声が秋の気配と物寂しさを誘います。私の暦めくりは、習慣で胸に付けた放射線測定器(ルクセルバッジ)の交換で始まります。月に1回放射線を取り扱う人の健康を守るため、各種法令でルクセルバッジ等の個人線量計を装着し、放射線作業を行うことが義務づけられていますものですから。そういうことで私の月初めはルクセルバッジ交換と愛犬サラにフィラリア予防剤を服用させることで始まります。

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臨床フォーラムが終わり、会場近くの赤坂サカスにて、ほろ酔いの私。

— posted by shimoe-s at 09:16 pm  

手術で取り出したものID:1251586494-

手術.検査で取り出すもの色々ありますが、一番多いのが避妊手術での子宮卵巣、睾丸でしょうか。引き続き腫瘍(癌)でしょう。今月は変わったところで、虚脱状態で運ばれてきた犬の小腸摘出。老犬のフィラリア摘出。副腎癌の摘出などなど切っては取り出すことが多い月でした。体にとって邪魔なもの、要らないものは取り去って元の体に戻すのが一番良いのは誰もが思うことでしょう。でもそこには人間側の経済的、精神的事情、動物側の体力、予備能力、年齢など色んな要素が絡み合い同じ病気でも同じ治療を施すことはあまりありません。上記の3症例は動物側の状況が非常に悪かったのですが、飼い主さんのご理解、犬に対する思いが強く施術する私の力強い後押しとなってくれました。
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壊死した小腸の一部原因は病理検査でもハッキリしませんでした。

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取り出した副腎の腺癌(左側)

フィラリア摘出用のフレキシブル.アリゲーター鉗子にて取り出した犬フィラリア。最近では予防が進み、この手術をすることが少なくなりました。

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誤って飲み込んだ種を内視鏡で取り出すところ。
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肛門腺(臭い袋)の摘出
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脾臓の腫瘤
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ウサギ同士の喧嘩による睾丸脱出。これから消毒などして睾丸を摘出します。ウサギの喧嘩も凄まじいものです。

— posted by shimoe-s at 07:54 am  

後天性重症筋無力症ID:1250238993-

食欲不振で吐くとの主訴でミニチュアダックスフントが来院しました。当初、当然、消化器系の疾患を疑い血液検査、レントゲン検査、内視鏡検査等を行ったのですが胃、十二指腸には異常は無く、食道内に唾液、泡状分泌物が貯留し炎症が胃の噴門近くに認められた為、逆流性食道炎と仮診断し、坑炎症剤で様子を看たのですが、症状の改善が無く、シワガレ声、瞬きの減少という新たな所見が見つかり、表題の病気が疑われる結果となりました。改めて食道の運動性検査(バリュウム検査)。テンシロン検査。坑アセチルコリン受容体抗体検査を行ったところ陽性と判定。臨床症状と各種検査結果(ホルモン系検査含む)、治療への反応などにより後天性重症筋無力症の局所型との診断に至りました。この病気は神経筋接合部の疾患で骨格筋側のアセチルコリン受容体に対する抗体産生により神経と筋肉の伝達が障害されることによって発症します。食道、咽頭、喉頭、眼筋などの筋力低下が水、食事が飲み込めず吐く現象を起こし(巨大食道)、声が出ず、ショボショボした目をしていたのです。この症例の場合、治療薬である坑コリンエステラーゼの効果が思わしく無く、しかも此の場合、首を高くし起立した状態で飲食させるのですが(食物がスムースに胃に入るようにする為)、この立位姿勢でもむせて吐き出してしまうため、胃瘻チューブを設置し食事管理をすることにしました。誤嚥性肺炎が此の病気の一番の心配の種なのですが、免疫抑制療法のステロイドホルモンが少し効果を現し、吐く動作は減少し目の状態も声の調子も改善してきてくれました。後は抗体が自然消失することに期待して食事管理、飲水管理、ステロイドの上手な使用(賛否両論あり)で治療管理していくことになります。心配されてるご家族のためにも早く元の体に戻って欲しいものです。(ヒトの重症筋無力症は胸腺過形成などの胸腺異常が多く見られるとされていますが、この犬の場合は胸腺に異常は認められませんでした)
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治療前の眼瞼の無力。眠たそうな目。

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治療後....目パッチリ

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胃瘻チューブの胃の中の状態。この管から胃内に食事が入る。
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無力な巨大食道

— posted by shimoe-s at 05:36 pm  

狂犬病ID:1248689955-

毎日新聞の本日朝刊に下記の文が載っていました。小動物臨床獣医師として狂犬病の危機意識の低下を感じる左近ですので、改めて知って頂くため転載してみました。

狂犬病:予防接種、わずかに4割 侵入許せば流行も--獣医師会など調査

 ◇中国など多発、専門家警告 狂犬病予防法に基づき、すべての飼い犬に義務付けられている狂犬病の予防ワクチン接種率が実際には約4割にとどまることが、日本獣医師会などの調査で分かった。国内感染による狂犬病は50年以上発生していないが、年間約3000人が死亡する中国をはじめ、周辺のアジア各国は発生数が多い汚染地帯。専門家は「いつ日本に侵入してもおかしくない。このまま低い接種率が続けば、侵入後は国内での流行を阻止できない」と警告する。【江口一、永山悦子】

 国内では1950年に狂犬病予防法が施行され、飼い犬の市町村への登録と年1回のワクチン接種が義務化された。国内で犬にかまれて発症した狂犬病患者は54年を最後に確認されていない。

 半世紀以上、国内発生がないことが人々の危機意識を弱め、近年は登録率、ワクチン接種率とも低下。ペットフード協会の調査による国内の犬の飼育匹数(07年度)は推定1252万匹に上る。そのうち厚生労働省調査による市町村への登録匹数は約674万匹、ワクチンを接種した犬は約510万匹にとどまる。登録率は54%、接種率は41%の低さだ。

 獣医師会の大森伸男専務理事は「室内飼育が増え、感染の危険性がないと思い込んでいる飼い主が増えているのではないか」と話す。

 世界的には発生が続き、毎年3万~5万人が死亡。特にアジアでは中国やインド、東南アジア、韓国で発生。インドネシアのバリ島では昨年11月に初の感染犬が確認された後、島内に感染が拡大。在デンパサール総領事館によると、今年4月ごろまで狂犬病による死者や、犬にかまれて病院に駆け込む人が相次ぎ、多くの野良犬が殺処分されたという。

 ◇狂犬病問題に詳しい源宣之・岐阜大名誉教授(人獣共通感染症学)の話 貨物船に同乗した犬や紛れ込んだ野生動物など、検疫を経ていないルートで国内に狂犬病が入り込む可能性は高い。侵入後に国内での流行を抑えるには、世界保健機関の指針に沿って7割以上の犬が、ワクチン接種で免疫を持つ必要がある。現在は非常に危険な状態だ。

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 ■ことば

 ◇狂犬病 狂犬病ウイルスの感染で発症する人と動物の人獣共通感染症。すべての哺乳(ほにゅう)類が感染する。人が犬にかまれて感染し発症した場合、興奮、まひなどの神経症状が出て、呼吸困難でほぼ全員が死ぬため、飼い犬へのワクチン接種が重要とされる。日本では70年にネパールへの旅行者1人が、06年にはフィリピンへの旅行者2人が帰国後に発症、死亡した。

狂犬病が国内で発生したら混乱は鳥インフルエンザ、狂牛病の比ではないはずです。

写真提供日本小動物獣医師会感染症委員会会員京葉獣医師会 副支部長 伊東彰二

タイで、狂犬病実態視察時に撮影した写真
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赤い所が狂犬病が発生している国です。
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— posted by shimoe-s at 07:19 pm  

夏祭りID:1248049932-

備後地方の夏祭りとして有名な通称〔天王さん〕が17日~19日の間ありました。この«てんのうさん»は、けんか神輿(みこし)としても有名で戸手.相方、新市、中須の三地区が重さ約500キロの神輿を担ぎ、ぶつけ合うのです。最終日の昼間、私の住んでいる中戸手地区を青和会(20歳~55歳までの男で組織している会)が中心になって神輿を担ぎ練り歩くのですが、今年は休憩所の一つとして当院が当てられました。日頃お世話になっている地元への感謝の気持ち込めて職員一同でおむすびを作り、酒の肴をつくり友人達の手を借り接待を致しました。梅雨時期のため天候を心配したのですが時々小雨程度で持ちこたえてくれ、用意した酒.肴も完食してもらい、職員一同安堵した充実した祭りの一日を過ごすことが出来ました。
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当院駐車場での神輿の“のうのうしゃげ”.....備後地方の方言で、神輿を高く持ち上げること。
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参拝している私。私も元、青和会会員でした。

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境内での神輿のぶつけ合い。

新市町観光協会の写真借用

— posted by shimoe-s at 09:32 am  

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