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トラバサミID:1228559526-

トラバサミに後肢を挟まれた猫が来院しました。話を聞くと1週間前に外出して戻って来ず、先ほど鉄のトラバサミを付けたまま瀕死の状態で帰って来たので直ぐに連れて来たとのこと。すでに後肢は壊死しており悪臭を放っています。トラバサミを外すのに私の力では無理で、万力を使用してやっと外すことができました。脱水がひどく全身状態が悪い為、入院点滴となりました。入院後やむおえず後肢付けねより切断となりましたが、処置後、食欲元気も出て退院となりました。この寒空の元、痛みと空腹に耐え、最後の力をふりしぼってトラバサミの鎖を千切り、家族の元へたどり着いたことに思いをはせると切なくなる出来事でした。トラバサミは狩猟に使う“わな”の一つで、わなの中央に足が乗るとバネ仕掛けにより金属板が合わさり骨を粉砕するほど強く挟み込む物です。丹誠込めた野菜や果樹を害獣から守るために設置されたのかも知れませんが、トラバサミでの捕獲を含め鳥獣捕獲は狩猟免許と捕獲許可が必要ですし、誰が仕掛けたか判るように標識を付けなければなりません。市街地で犬猫を捕らえる意図で仕掛けられたものは、動物愛護法違反にもなります。呉々もこのような危険な装置は使わないでいただきたく今回アップしてみました。
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— posted by shimoe-s at 07:32 pm  

クローン技術あれこれID:1226215437-

クローン技術とは、同じ遺伝的特徴を持つ子を人工的に生み出すことを指しますが、それには二つの方法があります。受精後発生初期の細胞を使う方法と皮膚や筋肉など成体の体細胞を使う方法です。これらは今まで生きた細胞を使っていたのですが、このたび冷凍死骸のマウスの脳からクローンマウスを作ることに成功したと発表されました。非常に驚きです。死亡した動物の細胞核(DNA)は壊れていて?遺伝情報を失っていると思っていたからです。これが応用されれば、凍土から発掘されたマンモスなどの絶滅動物の復活にもつながるとされていますが...(まさに輪廻転生でしょうか)。クローン技術は高い倫理観と安全性についてもっともっと研究されねばなりませんが、移植臓器とか食料の安定供給など目前の必要性に迫られているのも現実です。動物診療を考えた場合、人間と同様、犬の腫瘍疾患(癌)が増え頭を悩ませている現状です。(遺伝子関連技術で診断、治療薬が開発されてはいますが)。癌になった犬を治療するよりも、癌になりにくい犬をこのクローン技術の応用で作る方が良いのではと、最近、フッと思ったりもします。話は逸れますが、姿形にとらわれた最近流行の犬を追い求めるのではなく、丈夫な健康な雑種犬を見直してみるのも遺伝学的にも正解かも知れません。色んな環境汚染物質に取り囲まれ生活している私たち、動物たち、汚染社会に適応する体に進化するしかないのでしょうか。
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— posted by shimoe-s at 04:23 pm  

親睦ID:1225712680-

職員の親睦を兼ねて、岡山県は吉備高原の美星町へ、バーベキューをしに行ってきました。この町は名のごとく全国初の光害を対象とした「星空を守るための専門条例」を制定・施行した有名な風光明媚な町です。高台の為、少々寒かったのですが、アルコールも入り炭火で温もり、美味しい焼き肉に舌つづみ。周りの紅葉も良い雰囲気を醸し出します。さてさて当院に来られる人は、もうご承知と思いますが、写真のコップを口にしているのが先月より勤めています佐々木獣医師です。どうぞ宜しくお願いします。
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— posted by shimoe-s at 08:44 pm  

犬の飼い主検定ID:1216987378-

特定非営利活動法人・動物愛護社会化推進協会から次の案内がありました。【当協会では、一般の飼い主を対象とした、生態や行動、法律や規則、マナーなど犬に関する基本的な知識を問う「犬の飼い主検定」を主催しており、本年3月の第一回試験では全国6都市で1900名の方に受験していただきました。そしてこの度、前回に引き続き「第二回犬の飼い主検定」を平成20年9月〜11月に開催させていただく運びになりました。この検定試験は、犬の健康やしつけに関する知識を向上させ、マナーを守った良い飼い主が増えることを目的としており、環境省が推進している動物愛護と適正飼養の活動にも協力しています】との事です。犬の飼い主、特に最近子犬を飼い始めた方などは、この検定試験を通して犬を飼うための正しい知識を習得して優良飼い主になっていただければと思います。パンフレット・受験案内が必要な方は受付で申し出下さい。しかし、このところ30度を超える猛暑が続いております。朝晩庭木に水をやるのですが、周りはアスファルトで囲まれているため、ハナミズキ・ヤマボウシ・サンシュの樹木は水が足りないと悲鳴をあげています。動物たちも熱射病や暑さに関連する病気で来院が多くみられます。植物も動物も水は充分に与え暑さ対策を忘れずにこの時期を乗り越えましょう。

— posted by shimoe-s at 09:02 pm  

ハエウジ症ID:1208781073-

今年も早々ハエウジ症の犬が搬送されてきました。ハエウジ症とは壊死した皮膚、下痢や尿漏れで汚れた陰部周囲にハエの幼虫が寄生し、壊死組織を食い荒らす酷い状態のことをいいます。来院した犬は老齢の為、衰弱して立つことも出来ず、床ずれ(褥瘡)があり、肛門周囲は糞尿で汚れています。長毛のため皮膚の状態が判らなかったのでしょう。バリカンで毛を刈っていくとウジが無数に縦に皮膚にくいこんで動めいています。何十例と診てきましたがゾクッとする瞬間です。ピンセットで一匹ずつ取り出していくわけですが、食事中を邪魔されたウジは逃げまどい、さらに皮膚の奥深く潜っていきます。格闘の末、ほぼ取り終えた後、残存のウジを駆除するため周囲に駆虫剤を滴下し治療完了です。もちろんこのようになった基礎疾患は治療していきます。通常数日もすると皮膚の状態はよくなり動物も痛みから解放されるためか食欲も出てきて健康を取り戻すことが多いのですが、今回の症例は基礎疾患が難治性のようです。ウジで関連があるのがマゴットセラピーです。マゴットセラピーとは治癒しにくい壊死組織に対し無菌のヒロズキンバエの幼虫(ウジ)を用いて治癒を促す治療法をいいます。簡単に言えばウジに壊死した組織を食べさせて健康な組織を早く取り戻させることです。ヒトでの報告では褥瘡に対し従来の治療で壊死組織を半減させるために要した期間が平均4週間であったのに対し、マゴットセラピーを行った平均は1.4週間だったそうです。これを考えると、今回のこの犬のウジを取り去ることはどうだったのでしょう?ハエウジ症と無菌ハエウジを使用した治療を同レベルで語るには無理がありますが、このワンちゃんの場合、汚染された皮膚にウジ寄生のため過敏症を誘発しさらに細胞障害を起こし、痛みに苦しんでた訳ですから取り除く治療が心情的にも良かったものと思いますが、私の頭の中は一瞬マゴットセラピーとしてもう少し壊死組織を食べさせて、それから取り去る方が良いのではという思いが過ぎったのは確かです・・・。ウジの功罪をもっと研究しなければならないとも感じた今日でした。今回のハエウジ症の写真はあまりにもグロテスクで気分を悪くされる方もあるかと思い載せないでおきましょう。

— posted by shimoe-s at 09:31 pm  

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