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東洋眼虫ID:1242545351-

皆さんご存知の犬フィラリアは蚊が血を吸う時に感染し最終的に心臓に寄生する恐い病気というのはご承知と思います。今まさに予防開始時期で病院では慌ただしくしている時ですが、同じ寄生虫でも目に棲みつく東洋眼虫というのがいます。私が開業している地区は山里なものですから日常的にこの東洋眼虫が寄生した犬猫を診ます。涙、目やにが良く出る、目をシバシバさせるということで来院されます。これは目の周りをうるさく飛び交うブト(ショウジョウバエ)メトマイと言うハエが涙を吸いに来た時、感染するのです。(メトマイの体内で3回脱皮(L3)した子虫がハエの口器から眼に侵入)。成虫の雄は10ミリ 雌は15ミリで糸状の乳白色をしており約9ヶ月の寿命があります。眼の表面に寄生した子虫は2ヶ月でL1を産み、これがまたメトマイに吸われ他の犬猫に移されていく訳です。因に人間にも寄生しますのでメトマイに涙を吸われないように注意して下さい。治療は結膜嚢内、瞬膜下の成虫をピンセットなどで摘出します。メトマイが飛び交う場所にいる犬猫で眼が赤い、涙がよく出ている、目やにが出る等の症状がある場合、目をじっくり観察してみてやって下さい。フィラリアと違って命に関わる寄生虫ではありませんが、ここ数年頻繁に診ますので名前だけでも知っておいて下さい。
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私が開業している福山市新市町
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— posted by shimoe-s at 04:29 pm  

結婚式ID:1241610734-

動物看護士となり6年目の当院の門出さんが此のたび結婚いたしました。動物看護専門学校時代からの交際で今回の目出度い日を迎えました。晴天の新緑が眩しい樹木に囲まれたチャペルでの結婚式、披露宴。美味しい料理、お酒を頂きながら久々にゆったりした時間を過ごしました。このところ動物病院では一年で最も忙しい時期を迎えていたものですから。結婚後も門出さんは引き続いて勤めてくれます。院長として安心しているところです。門出さんと同じように仕事が出来る人を育てるには中々難しいものですから。披露宴の中で小さい頃からの写真履歴がスライドで紹介され、また友人達のスピーチから仕事上では見えない彼女の一面も知り得ることが出来ました。共通して言えることは素直な女性と言うことでしょう。きっと素晴らしい結婚生活を歩んでくれると思います。
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— posted by shimoe-s at 08:52 pm  

 

血尿ID:1241603805-

老齢の雌犬(シェットランド.シープドッグ)が血尿が治らないと来院されました。各種検査の結果、膀胱の腫瘍が原因と判明。腫瘍は膀胱全体に及び特に大切な膀胱三角(腎臓で作られた尿が尿管を通って膀胱に入る口、そして尿道へ出る口周囲のことを言います)に増生し尿管が腫大傾向(尿が膀胱内へ入り難い事を意味します)にあるため近い将来、尿が出なくなる恐れ大のため避難手術を行うことになりました。病理検査の結果は移行上皮癌と診断され、尿の流れを邪魔してた膀胱三角部の腫瘍はレーザーで切除しました(移行上皮癌は悪性腫瘍で完全摘出は困難です)。移行上皮癌はメス犬に発生しやすい素因があります。おそらくこれはオスよりもメスの排尿回数が少なく、膀胱壁と尿中に排泄された発癌物質との接触時間が長いためと思われます。腎臓の機能はまだ大丈夫な為、飼主さんと相談の結果、この癌に一番効果のある抗癌剤を使って癌をコントロールしていくことに決まりました。今回で2回目の抗癌治療継続中ですが大きな副作用も無く、血尿も止り尿の出も順調のため、完治は望めませんけれど癌と共存しながら良い状態が続く治療に専念していきます。

ピンセットの先が腫脹した尿管
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膀胱切開して内面全体に増生した移行上皮癌。
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細径内視鏡(3mm)で術前に膀胱内を精査、バイオプシー済み。

— posted by shimoe-s at 06:56 pm  

胆嚢の病気ID:1237707642-

最近食欲が無く頻繁に吐くということで13歳のシーズーが来院しました。各種検査の結果、胆嚢粘液嚢腫の破裂に伴う腹膜炎が疑われ、開腹手術となりました。このシーズーは数年前より胆嚢内に胆泥が認められていましたが臨床症状が無く、歳でもあるからと言う理由などで積極的な治療は望まれなく現在に至っていました。この胆泥症は胆嚢の異常として見つかることが多く、脂肪食の摂り過ぎなどが誘因のように思われます。また高脂血症、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症等といった基礎疾患が背後に隠れている場合がありますので注意が必要です。胆泥症だけの場合ほとんど無症状ですが定期的なエコー検査、食事療法などは継続していく必要があるでしょう。今回の場合、機能しなくなった胆嚢を摘出し、胆汁の排出路である胆嚢管から総胆管内の詰まった物質を摘出して手術を終えました。胆汁がうまく流れ出した為、黄疸も消失して今は元気よく食事も完食しています。

ピンセットで摘んでいる所が胆嚢管の入り口です。ここから総胆管に閉塞しているゼリー状の粘液物を取り出します。

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摘出した胆嚢を切開した所。中はゼリーの様な粘液物で充満しています。(胆嚢粘液嚢腫)胆嚢粘液嚢腫は胆嚢上皮細胞からの粘液産生亢進が疑われ、胆嚢内の胆泥とはちょっと違います。

— posted by shimoe-s at 04:40 pm  

特発性前庭疾患ID:1237119714-

急に首が捻れ、眼球が振れて吐き気があり、起き上がったり歩くことが困難になる老犬の病気に特発性前庭疾患があります。(特発性とは原因がまだハッキリ解っていないこと、前庭とは耳の一番奥にある内耳をいいます)。似た様な症状を示す他の脳疾患もありますので鑑別診断は必要ですが、たいてい柴犬系のミックス犬に多く見られます。特異的な症状にビックリして来院されますが、通常、対症療法で2~4週間ぐらいで回復してきます。中には下の写真の様に斜頚(首の筋肉の収縮力が低下して首が左右どちらかに曲がること)が後遺症として残る場合もありますが...。非常に熱心な飼主さんが写真を送って下さいました。風呂マットで体に傷がつかないよう囲いを作られ、下敷きは人工芝で尿で体が汚れないよう工夫されています。斜頚のある犬はどうしても真っすぐ歩かずグルグル廻るため、この様な円形にしておく必要があります。ある程度症状が落ち着いてきた犬はこの様な工夫をされて介護の息抜きをして下さい。段々と暖かくなってきています、慢性病で病んでいる動物達も春の訪れとともに快復してきますのでもう少しの辛抱です。
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— posted by shimoe-s at 09:21 pm  

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