横隔膜ヘルニアID:1284546061-

横隔膜は肺や心臓が収まる胸腔と肝臓、胃、腸などが収まる腹腔を境している筋および腱からなる膜状筋をいいます。焼き肉でいう“ハラミ”に当たる所です。«失礼»何らかの原因によりこの横隔膜が破れ腹腔の臓器が胸腔内に入り込むことを横隔膜ヘルニアといいますが、交通事故に起因することが多いものです。今回500gの子猫がこの病態で運び込まれました。検査の結果状態が落ち着いて後、開腹してみますと左側の横隔膜が破れ肝臓、胃、小腸がヘルニアを起こしていました。胸腔より丁寧に臓器を引っぱり元の腹腔に収めました。この症例の場合、写真のように横隔膜の筋肉部に薄い部分が認められます。薄い膜状組織のみで形成され筋組織が無い、いわゆる横隔膜形成不全と思われる状態です。ヘルニアを起こした部位にも一部薄い組織が認められたため原因は先天性異常の薄い横隔膜の部分が破れて起こした結果と考えました。現在、抜糸も終わり元気に成長しております。

胸腔内へ腹腔臓器が入り込み呼吸困難なレントゲン写真。
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鉗子で摘んでいる所がヘルニア孔(破裂した横隔膜)。

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ピンセットで摘んでいる所が薄い横隔膜。今にも破れそう。

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ヘルニア孔を閉鎖縫合したところ。薄い膜も縫合しているところ。

— posted by shimoe-s at 07:21 pm  

ヘモプラズマ(ヘモバルトネラフェリス)症ID:1283428275-

元気無く沈鬱な子猫(体重600g)が運び込まれました。鼻など皮膚は白く貧血がみてとれます。血液検査の結果PCV 7% BIL 1.7mgの強度の貧血と黄疸です。さらに検査を進めて行くと猫白血病には感染していないがヘモプラズマに感染し貧血を起こしていることが判明してきました。血液型などを調べ直ちに輸血を開始します。ヘモプラズマ症は猫伝染性貧血とも言われヘモバルトネラフェリスの感染によって引き起こされる溶血性貧血なのです。感染経路は今のところ十分に解明されていませんがノミなどの吸血昆虫に刺されることや喧嘩時の咬傷が主な原因とされています。この子猫は輸血、点滴、ヘモバルトネラフェリス駆除剤の効果で元気を取り戻しています。ノミの寄生、蚊の刺傷、喧嘩など外は危険いっぱいです。出来るだけ室内飼いに徹し、可愛い子には月に一回ノミ駆除、フィラリア予防、(首の所へ薬を垂らすことで予防が出来る)。そして白血病.エイズなどの予防ワクチンをして健康で天寿を全うするよう願う思いです。
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いつも写真撮影が下手で見難くて申し訳ありません。淡く丸いのが赤血球でその中にある青い点がヘモプラズマです。
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輸血後元気を取り戻し、点滴を外すのはもうすぐです。

— posted by shimoe-s at 08:51 pm  

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